TOYOMAKI COLUMN お役立ちコラム
2024.11.28 豆知識

冷たいものがしみるのはなぜ? 知覚過敏の原因と効果的な対策法

冷たい飲み物や甘い食べ物を口にしたとき、一瞬の鋭い痛みを感じることはありませんか?
このような症状は「知覚過敏」の可能性が高いです。
軽度の痛みであれば日常的なケアで軽減できますが、放置すると症状が悪化し、生活に支障をきたす可能性もあります。

今回は、知覚過敏の原因や予防方法、治療法について詳しく解説します。

知覚過敏とは?

知覚過敏とは、歯の表面が過敏になり、冷たい飲み物や甘い食べ物などに触れると強い痛みを感じる状態を指します。
多くの人が日常的に経験する可能性があり、特にアイスや冷たい水などを口に含んだ際に一瞬の鋭い痛みが走るのが特徴です。

これは、歯の表面が何らかの理由で弱まり、内部の神経に刺激が伝わりやすくなっているために起こります。
基本的には適切なケアをすれば痛みは軽減されますが、放置すると悪化するリスクもあるため、早めに対処しましょう。

知覚過敏の症状と原因

知覚過敏の主な症状は、上述のとおり「鋭い痛み」です。
痛みは一瞬で収まりますが、温度や甘味・酸味のある飲食物に触れるたびに発生するため、その都度不快感を覚えます。
また、歯ブラシでのブラッシング時や寒風にあたった際にも痛みが走る場合もあり、日常生活においても支障をきたすことがあるでしょう。

知覚過敏による激痛は、歯の神経が外部の刺激に対して過敏に反応し引き起こされますが、最も多い原因は歯の摩耗です。噛み合わせや歯ぎしりなどが原因で起こるのは咬耗とも呼ばれます。
*機械的な刺激で歯牙が削れる摩耗と噛み合わせなどが原因で起こる咬耗も、このコンテンツでは、皆様にわかりやすく摩耗と表現しております。
歯の外層である「エナメル質」が摩耗すると、その下にある象牙質が露出し、外部刺激が神経に伝わりやすくなります。
象牙質を通じて神経に直接刺激が伝わるため、激しい痛みを感じるのです。

また、歯肉が後退していることによって、歯の根元の象牙質が露出していても、知覚過敏が発生しやすくなります。
特に歯周病が進行すると歯肉が下がり、痛みが増す傾向があります。
その他、歯がひび割れたり損傷を受けていたりすると、神経に近い部分が外部刺激にさらされるため、強い痛みを感じます。

知覚過敏と虫歯の違いは?

知覚過敏と虫歯は、痛みが発生するという点では共通していますが、メカニズムと痛みの性質は異なります。
知覚過敏の場合、刺激に触れたときだけ瞬間的な痛みが生じますが、虫歯は歯の内部で細菌が繁殖し、その炎症によって持続的な痛みを引き起こします。

知覚過敏はエナメル質や歯肉の保護によって改善が見込めるケースが多く、正しいケアで痛みを抑えられる可能性がありますが、虫歯は放置すると進行し、歯を損なうリスクが高いため、早期に治療が必要です。

歯の摩耗の種類と刺激を引き起こす飲食物

加齢によってエナメル質が自然と摩耗するのは避けられず、年齢とともに知覚過敏のリスクも高まります。
特に、食べ物を噛む動作や飲み物による酸の影響で、徐々にエナメル質が薄くなる傾向があります。

歯ぎしりや食いしばりの癖がある場合も、エナメル質が摩耗し、知覚過敏を引き起こしやすくなります。
特にストレスや疲れが原因で歯ぎしりが増えると、歯に対する負担も増え、痛みの原因となる場合があるでしょう。

飲食物は、アイスクリームや冷水、氷入りの飲み物は、強い刺激となりやすいです。
また、柑橘類など酸性の食材はエナメル質を溶かしやすく、知覚過敏の症状を悪化させます。
甘い飲み物やお菓子も同様で、特に糖分が多いものは虫歯の原因にもなります。
これらを日常的に摂取する習慣があると、エナメル質が薄くなり、知覚過敏の症状が発生しやすくなるのです。

知覚過敏を放置するとどうなる?

知覚過敏の初期症状は、冷たい飲食物などで一時的に痛みが生じる程度ですが、放置すると症状が悪化する恐れがあります。

エナメル質や象牙質のさらなる損傷

知覚過敏を放置すると、エナメル質や象牙質がさらに摩耗し、痛みがより強くなる傾向があります。
特に酸性の飲食物や強いブラッシングによってエナメル質が削られると、刺激が神経に直接伝わりやすくなってしまいます。

歯肉後退による象牙質の露出

歯肉が徐々に後退してしまうと歯の根元が露出し、知覚過敏の範囲が広がっていく場合があります。
特に歯周病などによって歯肉の後退が進行すると、さらに痛みが増し、日常生活に支障をきたす場面が多くなるでしょう。

痛みが慢性化する

初期の知覚過敏は一時的な痛みで済むことが多いですが、放置していると痛みが慢性的になり、飲食にも影響が出てきます。
痛みが強まると、食事の制限が必要になる場合もあります。

歯の弱化と損傷

知覚過敏が進行すると、歯そのものが弱くなり、欠けたり割れたりしやすくなります。
特にエナメル質が大きく損傷していると、虫歯も併発しやすくなります。
そのため、早めに対処してこれらのリスクを避けましょう。

知覚過敏の主な治療法

知覚過敏の症状が続く場合や、痛みが強くなっていると感じたら、歯科医院で診察と治療を受けましょう。
歯科医院での治療には主に以下のものがあります。

しみ止めの薬を塗る

知覚過敏による痛みを抑えるために、しみ止めの薬を歯に塗布する方法です。
歯の表面に膜を作り、外部からの刺激が神経に伝わりにくくする効果があります。
比較的簡単に行える治療で、軽度の症状に適しています。

フッ素を塗布する

フッ素を歯の表面に塗布してエナメル質を強化し、症状を緩和させます。
フッ素には歯を再石灰化する作用があり、歯の表面を保護すれば、知覚過敏の進行を抑える効果も期待でき、複数回行うとより効果が持続します。

コーティングをする

知覚過敏の症状がある歯の表面にコーティング剤を塗布して保護する方法です。
特に歯の根元が露出している場合に有効で、専用のコーティング剤が歯の表面を覆うことで、刺激を軽減します。
比較的持続性の高い治療法ですが、効果が薄い時は再度塗布が必要です。

マウスピースを使う

歯ぎしりや食いしばりが原因で知覚過敏が発生している場合、マウスピースの使用が効果的です。
特に夜間に歯を食いしばる癖があるのであれば、歯への負担が軽減され、エナメル質の摩耗を防げます。
オーダーメイドのマウスピースを作成すれば、効果的に症状を抑えられます。

矯正治療を行う

噛み合わせが悪く、部分的に知覚過敏が発生している場合、矯正治療で噛み合わせを治すと、全体で噛める様になるため、歯への負担が軽減され、エナメル質の摩耗を防げます。解消できることもあります。

噛み合わせが悪いと感じた場合には矯正歯科に相談してみるのが良いかもしれません。

神経を抜く

知覚過敏が進行して痛みが強くなり、他の治療法で効果が見られない場合には、最終手段として神経を抜く治療が行われます。
神経を抜けば、痛みの原因が取り除かれ、知覚過敏の症状も完全に抑えられますが、歯の感覚も失われるため、慎重な判断が必要です。

日常生活で気をつけるべきこと

知覚過敏の症状を抑えるために、日常生活の中で注意すべきポイントを意識するのも効果的です。

柔らかい歯ブラシの使用と正しいブラッシング

硬い歯ブラシはエナメル質や歯肉にダメージを与えやすいため、柔らかい歯ブラシの使用をおすすめします。
ブラッシングの際には力を入れすぎないように注意し、優しく磨きましょう。
また、エナメル質を強化し、知覚過敏の進行を防ぐ効果があるフッ素配合の歯磨き粉や洗口液を使用するのも良いですね。

飲食物の内容と温度に注意する

酸性の飲食物はエナメル質を弱めるため、柑橘類、酢を含むもの、炭酸飲料や甘いジュースやお菓子を摂取し過ぎないように注意して下さい。
また、極端に冷たいものや熱いものは知覚過敏の症状を悪化させることがあるため、常温やぬるめの飲食物を選ぶと良いでしょう。

定期的な歯科検診とフッ素ケア

定期的に歯科検診を受けると、早期に対策ができます。
歯科医のアドバイスに従ってケアをすれば、進行を防げるケースが多く、定期的にフッ素塗布を受ければ、痛みの予防につながります。

早めに対処して歯の健康を守ろう

知覚過敏は、初めは些細に思える症状であっても、放置すると日常生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。
しかし、適切なケアを続ければ痛みの軽減が期待でき、快適な食生活や生活習慣を保てます。
知覚過敏の症状や原因を知り、日常的な予防と早めの治療を心がけて、健康な歯を維持しましょう。

当院でも、歯のメンテナンスやセルフケアに関するアドバイスや指導を行なっていますので、不安なことや分からないことなどがありましたらまずはお気軽にご相談ください。