TOYOMAKI COLUMN お役立ちコラム
2026.08.28 小児歯科

子どもの前歯が二重に生えたら? 乳歯が抜ける前に永久歯が生える原因と受診の目安

「乳歯がまだ残っているのに、その後ろから新しい歯が生えてきた」と、子どもの前歯が二重に見え、驚く保護者は少なくありません。
すぐに歯並びの異常につながるとは限りませんが、乳歯が揺れていない、永久歯が大きく露出しているなどの状態では、歯科医院での確認が必要です。

今回は、乳歯が残ったまま永久歯が生える原因や、自宅で様子を見られる状態、受診の目安を解説します。

子どもの前歯が二重に見えるのは珍しい状態ではない

乳歯の内側や後ろ側から永久歯が顔を出し、前後に2本並んで見える状態は、「二重歯列」「二枚歯」などと表現されます。
乳歯から永久歯への生え変わりは、おおむね6歳前後から始まり、特に下の前歯で見られます。
乳歯が残った状態で舌側から永久歯が生えると、心配に感じるかもしれません。

ただし、生え変わりの途中では一時的に前後へ重なって見えるケースもあり、永久歯が生えてきた時点ですぐに矯正治療が必要になるとは限りません。
生え変わりの時期には個人差があるため、同じ年齢でも乳歯が抜ける時期や永久歯が生える時期は異なります。
年齢だけで判断せず、「乳歯の揺れ」「永久歯の位置」「歯が並ぶスペース(余地)」なども合わせて確認するとよいでしょう。

乳歯が抜ける前に永久歯が生えるのはなぜ?

通常の生え変わりでは、永久歯の成長に伴って乳歯の根が吸収され、少しずつ揺れて抜けていきます。
ただし、永久歯の位置や生える方向によっては、乳歯が残ったまま永久歯が出てくることがあるのです。

まず、永久歯が乳歯の真下から少しずれ、舌側などへ向かって生えると、乳歯の根が十分に吸収されないまま永久歯が見えてくるケースがあります。
「永久歯は生えてきたのに、乳歯が残っている」となる主な理由のひとつです。
特に大きなむし歯で神経の処置を受けた乳歯は、うまく吸収されにくい傾向があります。

また、永久歯の前歯は乳歯より大きいため、生え変わりには新しい歯が並ぶスペースが必要です。
乳歯の間にすき間が少ないと、永久歯が歯列内に収まりにくく、生え変わったあとも歯の重なりが残る場合があります。

二重に生えた永久歯は自然に位置が変わる?

「内側から永久歯が生えたら、このまま歯並びに影響してしまうのでは?」と心配する保護者もいるでしょう。
しかし、乳歯が抜けてスペースができると、舌や唇から受ける力や顎の成長によって位置が変化することも少なくありません。

一般的には、唇や頬が外側から、舌が内側から歯へ力を加え、そのバランスが歯並びに関係するとされています。
乳歯が抜けたあと、永久歯が歯列内へ近づいていくケースもあるため、「内側から生えた=必ず矯正が必要」とは限りません。

一方、永久歯が並ぶスペースが少なければ、乳歯が抜けても歯並びのデコボコが残るケースがあります。
永久歯が大きく重なっている、隣の歯とぶつかっている、強くねじれているときは、将来の歯並びも含めて歯科医師へ相談するとよいでしょう。

自宅で少し様子を見られる目安

前歯が二重に見えても、すべての子どもがすぐに乳歯を抜く必要があるとは限りません。
次のような状態なら、乳歯の生え変わりが進んでいるか観察しながら過ごせるケースがあります。

乳歯がすでにグラグラしている

永久歯が見え始めていても、乳歯が明らかに揺れているなら、生え変わりが進んでいる可能性があります。
食事やブラッシングなどの日常生活の中で徐々に揺れが大きくなり、自然に抜けることもあるでしょう。
無理に引き抜こうとせず、揺れ方を観察してください。

永久歯がまだ少ししか見えていない

歯肉から永久歯の先端が少し顔を出した程度なら、その後に乳歯の揺れが強くなる可能性もあります。
数日単位だけで判断せず、乳歯と永久歯の変化を確認していきましょう。
スマートフォンなどで定期的に口元の写真を撮っておくと、永久歯がどの方向へ生えているのか比較しやすくなります。

痛みや腫れなどがない

食事が普通にでき、強い痛みや歯肉の腫れがなければ、緊急性が高くないケースもあります。
ただし、自己判断だけで長期間放置するのではなく、定期検診の際には永久歯の生える位置を確認してもらうと安心でしょう。

歯科医院を受診したい目安

保護者が見た目だけで、乳歯の根や永久歯の位置まで判断するのは難しいものです。
次のような状態が見られるときは、歯科医院へ相談してください。

乳歯が揺れずに永久歯が大きく生えている

永久歯が生えているのに乳歯がほとんど揺れていないときは、乳歯の根がまだ残っている可能性があります。
また、永久歯の歯冠が大きく見えているのに乳歯が残っている状態も受診の目安です。
経過観察でよいのか、乳歯の抜歯を検討するのかは、永久歯の位置などを確認して判断します。

永久歯が斜めに生えて並ぶスペースが少ない

永久歯が大きく斜めを向いている、隣の歯と重なっている、歯列内に収まるスペースが少ないといった状態では、今後の歯並びを確認したほうがよいでしょう。
顎の成長も含めて経過を見るのか、矯正歯科で定期的に確認するのかは、歯列の状態によって異なります。

痛みや腫れが続く、生え方に強い違和感がある

強い痛みや歯肉の腫れ、出血が続く、食事がしにくいといった症状があれば受診してください。
また、「左右で生え方が大きく違う」「永久歯がかなり内側にある」「ほかの永久歯まで重なってきた」など、保護者から見ても違和感が強いときは相談して構いません。
早めに受診しても、すぐに抜歯や矯正治療が始まるとは限りません。
現在の歯の位置や今後の変化を確認してもらうだけでも、不安を減らせるでしょう。

歯科医院ではどのように確認する?

歯のキャラクター

歯科医院では、見えている乳歯と永久歯だけではなく、乳歯の揺れ方や永久歯が生えている方向、歯列全体のスペースなどを確認します。
口の中だけでは判断しにくいときは、必要に応じてエックス線画像を使用し、乳歯の根や顎の中にある永久歯の状態も調べます。

乳歯と永久歯の状態を詳しく診察する

まず、乳歯がどの程度揺れているのか、永久歯がどの位置から生えているのかを確認します。
さらに、上下の噛み合わせや左右の歯の交換状況、永久歯が歯列内に並ぶスペースがあるかなども診察します。
現在見えている前歯だけではなく、全体の生え変わりを確認しながら判断する点が特徴です。

必要に応じてエックス線で位置を確認する

口腔内から見える範囲だけでは判断が難しいときは、エックス線画像を撮影するケースがあります。
エックス線では、乳歯の根がどの程度残っているのか、永久歯が顎の中でどの位置にあるのかを確認できます。
また、永久歯がどの方向へ向かっているのか、周囲にある永久歯とどのような位置関係になっているのかを調べる際にも役立ちます。

歯の状態に応じて経過観察や抜歯を検討する

乳歯が十分に揺れており、自然に抜ける可能性が高いと判断されれば、そのまま経過を観察する場合もあります。
永久歯が内側から生えているという理由だけで、すぐに乳歯を抜くとは限らず、子どもの年齢や乳歯の状態、永久歯の位置などを踏まえて判断します。

一方、残っている乳歯が永久歯の位置や生え変わりに影響すると判断されたときは、乳歯を抜歯する可能性があるでしょう。
抜歯が必要かどうかを家庭で判断するのは難しいため、無理に乳歯を抜こうとせず、歯科医師へ相談してください。

乳歯が抜ける前に永久歯が生えたら「乳歯の揺れ」と「永久歯の位置」を確認しよう

歯医者と子供

乳歯が抜ける前に永久歯が生え、前歯が二重に見える状態は、特に下の前歯の生え変わり時期に見られます。
乳歯がグラグラしており、永久歯も生え始めたばかりなら、そのまま経過を見る場合もあります。
一方、乳歯がほとんど揺れていない、永久歯がかなり生えている、大きく斜めになっている、歯が並ぶスペースが少ないときは、歯科医院で確認してもらいましょう。
乳歯が抜けたあとに永久歯の位置が変化するケースもあるため、現在の見た目だけで将来の歯並びを判断せず、成長に合わせて確認していくことが大切です。